ビットコインとはなにか?

2018年1月22日公開

「ビギナーにもわかりやすい」をめざして、ビットコインブロックチェーンについて解説していきます。

まず最初は、ビットコイン概論としてビットコインとはなんぞや?というところを、技術的な話を抜きに解説していきます。

技術面については次回以降で掘り下げて説明していきます。

すべては2009年にはじまった

ビットコインとはご存知「仮想通貨」の代名詞として広く知られるようになりました。

ブロックチェーン技術という基盤技術をもとに作られたのがビットコインで、その歴史は2009年から始まっています。

ビットコインを支えるブロックチェーンは、1990年代にインターネットが世に広まったとき以来の衝撃的なプロダクトで、まさに「革命」と言われています。

世間ではAIだフィンテックだIoTだと言われていますが、なかでももっとも革新的なのがブロックチェーンであります。(ポジショントークではなく本当です)

ビットコインの特徴

概論ですので技術的なことはさておき、ビットコインの特徴を挙げてみましょう。

  1. 管理者がいない
  2. セキュリティが堅牢
  3. 送金時間が激早
  4. 送金コストが激安

1. 管理者がいない

なんといってもビットコインの最大の特徴はこれ、管理者がいないということです。

例えば円やドルなどの法定通貨(仮想通貨と区別してフィアットと呼ばれます)は発行体がいます。

各国の中央銀行がそうですね。

円は日本銀行が発行しています。

管理者がいる、ということはどういうことでしょうか?

日本円は、管理者がいることで1万円札には1万円の価値が担保されています。

1万円札なんて、物質的にはただの紙です。1万円札の製造原価は約20円なのですから。

しかしそれでも世界中で1万円札を1万円の価値で財や別の貨幣に交換できるのは、日本銀行、ひいては日本国が世界中から信用を得ているためです。

 

では、もしあなたが信用の低い国に生まれていたとしたらどうでしょう?

国際的に信用度の低い新興国なので、紙幣に信用度がありません。

隣町のスーパーマーケットでは、自国通貨がいつ紙くずになってもおかしくないので米ドルでしか支払いを受け付けてくれません。

そうした場合には当然、価値が暴落しない通貨を持たざるを得ません。

隣の国の通貨でも良いでしょう、米ドルでもよいかもしれません。

しかし極端な話、誰かが発行した通貨はいつかもしかしたらその発行者の信用が落ちて紙くずになってしまう可能性があるのです。

と、いうことで管理者のいないビットコインのような仮想通貨が待ち望まれていたのです。

 

ビットコインには管理者がいません。

まったくなんのことかわからないかもしれませんが、文字通り誰も貨幣を管理していないのです。

ピン札を刷って古い紙幣と交換することもなければ、相場に応じて為替介入なんてこともしませんし、世の中に出回る紙幣の量をコントロールしたり(いわゆる金融政策)もしません。

ただただ、誰がいくらのビットコインを持っていて、いつ誰が誰にビットコインを送ったのか・受け取ったのかを把握するシステムがあるだけです。

それがブロックチェーン技術なのです。

 

じゃぁ一体誰がそれを把握しているのか?という話になりますよね。

例えば円の預金口座は銀行が管理しています。

誰がいくら持っているか、いつ誰が誰に送金したかは銀行が把握しています。

ビットコインでは銀行にあたる管理者はいません。

答えは、ビットコインのネットワーク参加者全員です。

多数のネットワーク参加者が暗号化した取引記録を共有しているのです。

 

また、管理者がいた場合ハッキングの標的にもなりやすいですが、ビットコインには管理者がいないためハッキングの被害にあうこともありません。

銀行のようにハッキングされてデータが改ざんされたり、データを覗き見られたりする危険性がないのです。

 

詳しい話はまた別記事にまとめます。

いまはただ「ビットコインに管理者はいない」ということだけ覚えてください。

2. セキュリティが堅牢

ビットコインの2つめの大きな特徴はセキュリティの強さです。

セキュリティが強いとはつまり、データの覗き見や改ざんが極めて困難で、事実上不可能に近いということです。

語弊を恐れずに言うと、これまでのインターネットの通信規格であるhttpは情報の受取手を信頼していないと成り立たないものでした。

しかしブロックチェーンでは相手側が信頼できるものであろうとなかろうと、関係ありません。

なぜなら取引自体が信用できるためです。

これをトラストレス トラスト システム(Trustless trust system。「相手を信用しなくても成り立つ、信用に足るシステム」とでもお考えください)と呼びます。

 

なぜセキュリティが堅牢になるのかについてはブロックチェーンの説明記事で詳しく解説します。

3. 送金時間が激早

通常、日本円を国内の誰かに送金する場合どれくらいの時間がかかるでしょうか?

おそらく10分〜20分程度でしょう。

 

では国際送金する場合は?

これは数時間どころか、1週間単位で待たされるのが普通です。

また国際送金では多数の関係者が入ってくるため、トラブルが起こりやすく、延々待たされた挙句に結局送金できなかった、ということも珍しくありません。

 

なぜそんなに国際送金には時間かかるのでしょう?

順番はこうです。

A国からB国へ国際送金する場合、まずA国のa銀行のア支店に送金の依頼をします。

しかしa銀行はB国に直接送金できるインフラを持っていないので、a銀行は大手のb銀行に送金依頼をします。

そしてb銀行がB国の支店を経由してa銀行の現地にあるイ支店に振り込みます。

かくしてア支店からイ支店にお金が移動するわけです。

この送金にかかる手続きはシステム化が遅れており、いまだに人手で作業されています。

だからとても時間がかかるのです。

 

ブロックチェーンではこのような経由をすることなく、直接ウォレットからウォレットへ送金が完了するので実にスムーズです。

ブロックチェーンの仕様上リアルタイムとまではいきませんが、それでもビットコインなら10分程度で送金が完了します。

4. 送金コストが激安

現状の銀行の送金システム、とりわけ国際送金がいかに非効率的かは上述の通りです。

非効率的ということは、それだけ余分なコストが発生しているということです。

出稼ぎで国外ではたらく労働者が、祖国の家族に稼いだお金を送金しようとすると、およそ20%〜30%ほどが手数料等で取られてしまうのです。

 

しかしビットコインなら直接AさんからBさんに通貨を送れますし、なにより手数料をとるような管理者も存在しません。

厳密には、ブロックチェーンを稼働させるマイナーと呼ばれる人たちに、利用のたびに手数料のようなものを支払う必要がありますが、従来型の手数料に比べてゼロが2つくらい小さくなるほどの微々たる額です。

ビットコインは○○ではない

前章ではビットコインの特徴をみてきましたが、本章ではよく仮想通貨と混同されがちなものと比較しながら、「〇〇ではないもの、それがビットコイン」という切り口でみていきたいと思います。

ビットコインは円やドルではない

まずはこちら。ビットコインは円やドルと何が違うのでしょうか?

これは前章のとおり、最大の違いは管理者の有無です。

円やドルに管理者がいるのとは違い、ビットコインには管理者がいません。

いるのはネットワーク参加者だけで、参加者全員で取引記録を共有しています。

ビットコイン電子マネーではない

つづいてはこちら。ビットコイン電子マネーの一種と勘違いされやすいですが、ここもやはり違います。

まずは先ほどと同様、管理者の有無が挙げられます。

電子マネー、例えば楽天ポイント楽天が管理していますし、ナナコはセブンイレブンが管理しています。

楽天が仮に経営破綻すれば、楽天ポイントはデジタル上のゴミになりますよね。

 

また、法定通貨にペッグしていることも電子マネーの特徴です。

つまり1ポイント=1円などのように、かならず法定通貨に兌換(だかん)が可能なのが電子マネーです。

一方でビットコイン法定通貨にペッグしていません。

相場は市場によって常に変動的です。これは円やドルでも同じです。

つまり、電子マネーは仮想通貨どころか通貨ですらない、ということです。

ビットコインは金(=ゴールド)ではない

今度は金との対比です。

実は、金は結構仮想通貨に近いのです。

なぜなら、金は(どれくらいかわかりませんが)埋蔵量が有限ですよね。

同じように、ビットコインの流通量もシステム的にあらかじめ決まっており、その上限数は約2,100万枚です。

円やドルなら(暴落を恐れなければ)中央銀行がいくらでも刷れますが、金やビットコインは有限のため、そうはいきません。

そういう意味でとても類似性があります。

 

一方で、金は実物資産です。

仮想通貨がデジタル資産であることから、ここは圧倒的に異なります。

つまり、金だとAさんからBさんに送るときにコストがとてもかかりますが、仮想通貨は微々たる額で世界中の誰にでも送金が可能なのです。

最後に

さて本稿では革新的なビットコインについて解説してきました。

技術的な部分は極力省いた結果、「今はそういうもんだと思ってください」という表現をする箇所もありました。

もしかしたらそれが原因で、奥歯にものがはさまったような若干の気持ち悪さを感じた方もいるかもしれません。

そんな方は今後執筆する別記事をご参照いただけると理解が深まるかと思います。